ダウンジャケットに羽毛布団、多くのダウン製品が世界中で製造・販売されています。そのダウンに関して驚きの事実が明らかになったのは、スウェーデンのテレビ番組で行った羽毛産業の取材がきっかけでした。放送後の反響は大きく、世界的な家具販売店
IKEA(イケア)はのちに本拠地のスウェーデンで放送を見て驚いた消費者から、多くのクレームを受け布団などダウン製品の販売中止する事態になりました。
視聴者が目にしたのは、ガチョウの飼育施設で生きているガチョウから、人が羽毛を強引にむしり取っているものでした。生きた鳥から抜けば何度も羽毛が取れるからです。両足の間に鳥を挟んで動けないようにし、泣き叫んで逃げようともがく鳥から、乱暴に羽毛を引き抜いて行きます。丸裸にされた鳥の赤い肌が非情に痛々しく、皮膚が裂けて傷口から血を流している鳥もいます。それを人が痛み止めもせずに、針と糸でぐいぐい縫い合わせているという地獄絵図でした。ダウン製品は食肉やフォアグラの副産物、または生きている鳥から抜いた羽毛で作られています。そしてこの番組は
「世界中の50〜80%のダウンが生きた鳥から抜いたものである」
と放送しました。中国のダウン産業組合はこれを否定しましたが、イケアは独自に調査を行ったうえで、50〜80%という数字は正しいとして中国製ダウン製品の販売をやめました。中国は世界中のダウンとフェザーの80%を生産しているのです。
羽毛を抜くだけではない
かわいそうなことに、これらの鳥は糞が羽毛を汚すからと満足に餌を与えてもらえません。そして1ヶ月半に1度この拷問が待っています。数回羽を抜かれた後は殺されます。よく衣装や帽子の装飾に使われているオーストリッチ(だちょう)の羽も、食肉の副産物か生きている鳥から抜いたもので、半年ごとに抜かれます。
冬になるとCMで宣伝されているファスト・ファッションのダウン・ジャケットも、中国から輸入したダウンを使っていますから例外ではありません。
動物愛護運動の中で毛皮やレザーやフォアグラの反対活動は比較的活発に行われています。しかし食肉の副産物という点で、実はダウンもウールも毛皮もフォアグラも同じです。ダウンを買うと、フォアグラ産業を支えることになります。フォアグラ産業は肉からの利益以外に、ダウンという副産物で追加の利益を得ているからです。
ダウンはリサイクルする動き
ダウンは100年以上もつ環境資源だそうです。
すでに米国カリフォルニア発のスポーツブランド、パタゴニアはダウンのリサイクルをはじめていて、店頭で不要になったダウン製品の引取りを行っています。日本では2015年にアパレル企業など25社が参加する「グリーン・ダウン・プロジェクト http://www.gdp.or.jp/ 」が立ち上げられました。ゴールドウィンは直営店舗(ザ・ノース・フェイス、ヘリ―ハンセン、エレッセ、ダンスキンなど)でダウン製品の回収を行っています。また三重県にあるエコランド社は、羽毛布団を回収し羽毛のリサイクルを行っています。
最近は市場に3M社の「シンサレート」など、ダウンより薄いのにダウンの何倍も暖かいと言われる新素材が出回っています。湿気を外に出すので蒸れずに快適、布団は家庭で洗えるので清潔に保て、軽くて羽毛アレルギーの方も大丈夫という優れものです。私達がダウン製品を買えば、ダウン産業を支えることになります。どーしてもダウンが着たいという方、せめてリサイクルショップで手に入れましょう。新たにダウン製品を買う前にこれらのことを思い出して、うっかり虐待行為の片棒を担がないようにしたいものです。
衝撃、ダウンの作られ方 体中の羽をむしる恐怖のダウン生産現場 by chickpea
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